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新世界ジャンジャン横丁の串カツ屋が博多にあった!

大衆酒場ファンなら必ず知ってる大阪の新世界ジャンジャン横丁。「王将坂田三吉が見上げては闘志を掻き立てた通天閣の足元から伸びるアーケード街だ。串カツ屋、ホルモン焼き屋、立ち飲み屋、将棋・碁会所などがひしめいている。朝ドラのふたりっ子でその名を知った人もいるだろう。そしてジャンジャン横丁と言えばやはり串カツ屋なのだ。博多には京風の洒落た串揚げ屋は多数あれど、大阪直伝の串カツ屋は無い。と思っていた。だいたいジャンジャン横丁のような小銭しか持たないおっちゃん達を相手にする盛り場自体が博多にはないし。本場の串カツ食う為に大衆酒場部大阪遠征を企画してた程だが、本場そのままの串カツ屋が地元のそれも高宮のマンション街の一角に『大阪どて秀』はあったのだ。古ぼけた外観にゴチャゴチャとなにやら書かれて結局はどんな酒場か分からない佇まい。しかし扉を開けて中に入ればそこにはコテコテの大阪ワールド。もう身体が震えてくるね。

二度漬け禁止はお約束。串カツはやっぱりどぼん漬け。

串カツ屋の有名なルールが二度漬け禁止。醍醐味はバッドにたっぷりのソースにどぼんと浸すどぼん漬け。ソースを周囲の客が共有するので、何度も漬けられたらそりゃあ唾液や食いカスで汚くなっちまう。とても合理的なルールなんだよ。それなら最初からソースを掛けて出せばいいじゃん、てな突っ込みも当然あるだろう。でもこういう庶民の食い物は上品に食ってたらその魅力も薄れちまうからジャブジャブと豪快にソースに浸したいものだし、どんどん串カツのエキスが混ざってソース自体が美味くなるのだよ。と、オレは信じてる。串カツ屋のソースは基本的に自家製で、串カツと同じくらい腕の見せどころ。決してとんかつのように飯と一緒に食うものじゃないし、酒のアテだから濃い過ぎては元も子もない。何串もパクパク食べれる軽さが大切なのだ。それは串カツの衣もしかりだけどね。オレ的に串カツソースの位置は、座る席から見て利き腕の斜め45度前がベストポジションだと思う。良いリズムで食う事が出来るから。そして左手にはもちろん串カツのベストパートナーである生ビール。かー、たまりまへんなあ。

串カツ、そしてどて焼き。大阪の匂いがプンプンでっせ。

この串カツがホントに何本でもイケる。暴飲と(認めたくは無いが)老化で胃弱がヒドいオレでもね。串カツの種類はいろいろあれど本場の味を味わいたいのなら絶対牛カツ。これを食わなきゃ串カツは語れない。まあ他の串カツも美味しいし、本場ジャンジャン横丁の串カツ屋でも実際は牛カツだけでなく、いろいろなネタを揚げるんだけどね。
串カツと並ぶジャンジャン横丁名物が、どて焼き。博多の屋台の名物で、同じ名前のどて焼きというアテがあるが、アレとは違う。モツを使うのは一緒なのだが、白味噌だけで味付けされている。こちらのどて焼きは赤味噌も合わせたり、濃口醤油を使うので見た目も黒っぽいが、大阪のは見た目は白くて味はそこまで濃いくない。まあ味に関しては、比較の問題であって決してあっさりした食い物ではないが(笑)。
どちらも下世話な食い物で、気取って食うものではない。ヘルシーとは無縁の食い物だけど、ついつい食い過ぎてしまう。語弊があるかも知れないが、ジャンクな食い物ほど中毒性がある、というのがオレの持論でもあるのだ。

『大阪どて秀』は物真似ではない真の大阪の串カツ屋。

『大阪どて秀』は大阪新世界からやって来たおっちゃんが、一人で切り盛りしている。おっちゃんは、岡田、バース、掛布がいた吉田阪神が優勝したその翌年に博多へやって来た。つまりおっちゃんは、昨年17年目にして初めて博多の地で阪神の優勝を見る事が出来たのだ。まあ日本シリーズでは我がホークスが勝ってしまった訳だが。

おっちゃんは新世界で産湯に浸かったバリバリの大阪人。聞くところに寄れば、おっちゃんの父上が新世界に同名の『どて秀』という酒場を開いたらしい。戦前の事で当時は珍しい泡盛を沖縄からかめ壺で仕入れてきたら、珍しさもあって大当たり。それは盛況だったそう。沖縄音楽ファンであるオレは、以前に照屋林助りんけんバンド照屋林賢の父)の「てるりん自伝」を読んだ事がある。それによれば貧しかった沖縄から大量の出稼ぎ人が大阪に来てたそうだから、そこら辺も商売感の利く大阪人の父上の読みが当たったのかも知れない。『大阪どて秀』は二代にわたって引き継がれている年季の入った屋号で、真性の大阪直伝の味なのだ。

だけど一番の魅力は浪速流れのおっちゃんの笑顔なのさ。

でも何より魅力なのはおっちゃんそのもの。笑うと目が無くなるカワイイ笑顔で喋くりまくって、いつでも楽しい気持ちにさせてくれる。そこらの若いのより、ギャグのセンスがさえてるしね。もう70歳を越えてるが、全然それを感じさせない。「薬で病気を抑えなイカンようになったら、すぐ店たたむ」といつも言ってる。休日は常連さんと温泉巡りなどで九州中を回ってるらしい。オレなんかよりよっぽどこちらの名所に詳しいんだよ(笑)。そうそう常連と言えば、博多の数少ない虎キチが集まる場所としても有名。昨年の阪神優勝の際は、毎日テレビ局の取材攻勢だったそう。店内を見回せば、黒と黄のツートンの阪神カラーで埋め尽くされてるし、阪神グッズもアチラコチラに。壁には来店した阪神応援団の団員名簿などが貼られている。阪神ファンは速攻で駆けつけなきゃ。とは言え、ホークスファンの客も多くて、阪神ファンと一緒に仲良く呑んでるらしい。
『大阪どて秀』は人情味溢れる大阪人の魅力満点串カツ屋。アナタもおっちゃんと掛け合いながら、串カツ囓りに来ませんか?こんなエエ店、そうそうありまへんで!

2004/8/8 writed by johnny@pop

※追記 04年9月末時点での確認情報ですが、閉店した模様です。
掲示板に寄せられた情報に寄れば、おっちゃんの息子さんが営む東京の寿司屋へ移ったとの事。
オレらにとっては大変残念な事なのですが、以前よりおっちゃんは息子さんと一緒に働く事を熱望していたのでこれで良かったのでしょう。
いつか東京に行った際にでも、おっちゃんのあの笑顔が見れたら嬉しいなあ。


博多大衆酒場部